会社を辞めて7月から夫の個人事業のお手伝い・妻の給与は経費になるか

確定申告時期の相談で、7月ごろに今勤めている会社を辞めて、主人の個人事業(青色申告)の仕事をしたいと思います。そこで働いた場合に、主人から支払われる給与は経費になりますか。と相談がありました。
結論としては、奥様にお支払いする給与は、今年の経費にすることができます。
生計を一つにしている家族などへ支払った給与を経費にするためには、次のようなチェックポイントがあります。


① 税務署へ家族などにいくら給与を支払いますよ、という届出を事前に提出する。
② 1年のうちに6ヶ月を超える期間、主にその事業で働かないといけない。
③ 配偶者控除等との関係

(1) 税務署へ事前に書類を提出する

家族など身内へ支払う給与を経費にするためには、税務署へ「青色事業専従者給与に関する届出書」という書類を提出しなければいけません。
その届出書は、原則として、給与を支払う年の3月15日までに提出する必要があります。
新たに家族などへ給与を支払う場合は、その時から2ヶ月以内に届出書を提出します。
今回のケースでは、新たに奥様へ支払うこととなったタイミングから、2ヶ月以内に届出書を提出する必要があります。
また、家族などへ支払う給与は、世間一般の給与より明らかに高い金額は認められません。例えば、経理や総務の業務に1ヶ月に300万円を支払うなどは認められないと考えた方が良いでしょう。

(2) 1年のうち6ヶ月以上はその事業で働く必要がある

働く期間は、1年のうち、出来るだけその事業に専念して6ヶ月を超えて働く必要があります。例えば、その事業以外に、正社員として働きながらだと認められないことになります。
一方、他に短時間のアルバイトをしている場合や、夜間に授業を受ける学生(大学生の子供など)であれば大丈夫です。

(3) 他の所得控除との関係

家族などへ給与を支払うこととなった場合は、他の所得控除との関係も考える必要があります。
例えば、仕事をしていない専業主婦の奥様がいる場合は、配偶者控除として38万円の所得控除が受けられます。
しかし、その奥様がご主人の個人事業で働き給与が支給されることになった場合は、給与は経費に出来ますが、配偶者控除の38万円は控除できないことになります。
つまり、家族などへ給与を支払う場合は、配偶者控除や、扶養控除などの対象とならないことになります。確定申告の相談では、家族に給与を支払っていて、所得控除もしているというケースがたまにありますので注意が必要です。

(4) まとめ

個人事業をされている方は家族などに給与を支払うケースも多いと思います。
その際は、届出をしっかりと出すこと、他の所得控除との関係を十分に考えてみると良いですね。

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