相続権とは所有権の延長にあるもの。などと言われます。
今回は、所有権と相続権についてみていきます。
所有権とは何か?
所有権とは、「自分の物」だと主張し、その物を好きに使える一番強い権利のことです。
具体的には、その物を
①使う(使用): 例:自分の家に住む、自分の車を運転する。
②そこから利益を得る(収益): 例:自分の家を貸して家賃収入を得る。
③他の人に渡す・処分する(処分): 例:自分の家を売る、車を捨てる、誰かにあげる。
などということを法律の範囲内で自由にできる権利です。
誰かに邪魔されても「これは俺(私)の物だ!」と主張できる、非常に強力な権利なんです。
相続権とは何か?
続いて、相続権についてみていきます。
相続権とは、ある人が亡くなったときに、その人が持っていた所有権を含むすべての財産(義務や負債も含む)を、法律に基づいて引き継ぐことができる権利です。
相続権は、亡くなった人の所有権が「消滅する」のではなく、「相続人へと移転する」 ことによって、その所有権が途切れることなく存続することを保証する制度です。
つまり、亡くなった人が持っていた所有権という「バトン」を、相続人が「引き継ぐ権利」が相続権、というイメージです。引き継がれた結果、相続人はその物の新たな「所有者」となります。
このように、相続権は所有権が「死後も継続し、新しい所有者に受け継がれる仕組み」の一部であり、両者は深く結びついています。
最後に、相続権がなくなる場合を見ていきます。
相続権がなくなるとどうなるか?
- 亡くなった人に、法律で定められた相続人(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)が一人もいない場合。
- 相続人となる権利を持つ人全員が、家庭裁判所に相続放棄の手続きをした場合。
これは、亡くなった人に借金などの負債が多く、財産よりも負債の方が大きい場合に、負債を背負わないために選択されることが多いです。相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったものとみなされます。
これらの場合、亡くなった人の所有権やその他の財産権は、その個人で途絶え、誰も引き継ぐことができなくなります。
その結果、財産は国のものになります。
このように、所有権と相続権には深い関係があります。
次の投稿では、相続人が引き継いだ財産に、なぜ、相続税がかかるのかを見ていきたいと思います。