贈与税が課税される理由

贈与税は相続税を補完する税と言われています。
その相続税とは、どのような税金なのでしょうか。

相続税でカバーしきれないとことを補う

もし贈与に税金がかからなければ、亡くなる前にその人が持っているすべての財産を親族などに無償で渡してしまえば、本来課されるべき相続税を逃れることができてしまいます。
例えば、ある人が多額の財産を持っていて、将来相続が発生した際に高額な相続税が課されるとします。
この人が、生前に財産のほとんどを子どもや孫に贈与してしまえば、亡くなった時点での財産が減り、結果的に相続税の負担を大幅に軽減できてしまう。
このような「相続税逃れ」を防ぐために、贈与にも税金を課しています。
贈与税は、将来の相続税を先取りするような性格を持っているとも言えます。

富(財産)の再分配のため

贈与は、ある個人から別の個人へ、財産が無償で移転する行為です。
贈与を受けた側は、何の労力や対価も支払うことなく財産を得るため、その経済力(担税力)が増加します。
社会全体の富が特定の個人や家系に集中しすぎると、経済格差が拡大し、社会の安定性を損なう可能性があります。
贈与税は、このような格差を是正し、公平な富の再分配を促す役割を担っています。
これにより、社会全体の所得や資産の公平性を保ち、機会の平等にも寄与することが期待されます。

税金を負担できる能力に着目

贈与によって財産を取得した人は、その分だけ財産が増加し、経済的な負担能力(担税力)が高まります。
税金は、基本的に担税力があるところに課されるべきという考え方(応能負担の原則)があります。
贈与税は、まさにこの原則に基づき、無償で財産を得て担税力が増加した人に対して課税することで、公平な税負担を求めるものです。

これらの理由から、贈与税は単に税収を確保するためだけでなく、税制度全体の公平性や社会的な富の分配、経済的な公正性を保つための重要な仕組みとして存在している税金と言えます。

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