遺言信託とは

最近は、銀行などの金融機関が行う相続に関するサービス提供が増えています。
中でも、「遺言信託」は銀行や信託銀行が「遺言執行者」として、遺言書の作成から保管、そして遺言の執行までをサポートするサービスです。
琉球銀行など、沖縄の金融機関でも同様のサービスを取り扱っています。

銀行という安心感

相続が発生した時、遺言書通りに遺産を分け、故人の想いを実現させる役割を担う人のことを遺言執行者といいます。
例えば、遺言執行者になった銀行は、不動産の名義変更や、金融資産の解約などを単独で行うことができます。生前、お付き合いのある銀行だと安心感もあるでしょう。
残された相続人がこういった名義変更等をする場合には、労力、時間がかかるので有り難いサービスといえます。

一方、遺言執行者になれるのは銀行ではなく、特定の相続人や信頼できる弁護士等の専門家を指定することもできます。
しかし、本人が亡くなる前に、弁護士等が亡くなってしまう可能性もありえます。
その点、銀行や信託銀行を指定しておけば、その銀行が倒産しない限りは確実に遺言を執行してくれます。
そういった面で、銀行等へ依頼する遺言信託は安心感があります。

費用が割高

一方、銀行等へ遺言信託を依頼するデメリットもあります。

第一に費用面です。
銀行にもよりますが、最低でも100万円以上の費用は見ておく必要があります。
相続税が発生する場合には、別途、税理士費用がかかりますし、不動産の名義変更が必要な場合には司法書士に払う費用が発生します。

第二に、相続発生時に争いが発生した場合、銀行は遺言執行者を辞退する可能性があります。
特定の相続人が、自分にとって不利な内容の遺言書があることを知った場合、その相続人は、遺言執行者である銀行を訴えることになります。
銀行としては、訴訟のリスクを避けるためにも、揉めそうな案件では、遺言執行者を辞退してしまうのです。

まとめ

遺言信託をしておけば、銀行が忙しい相続人の代わりに口座などの名義変更を粛々と行ってくれるので、手続きとしては非常に楽です。
ただ、争いのない相続における遺言執行は、時間とエネルギーはかかりますが、そんなに難しくはありません。
銀行などにお願いするか、または、争いがないのであれば、特定の相続人に遺言について話しておくかを検討していただければ、と思います。

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