概要
事業承継税制とは、後継者が会社の事業を継続させることを条件に、相続税や贈与税の納税を猶予する制度です。
さらに将来的に、後継者が次の後継者に承継させることができた場合など、一定の条件を満たす場合には、猶予されている納税が免除されることになります。
この制度ができた理由
事業承継を円滑に進めるためには、「後継者に経営権を集中させること」が不可欠ですが、オーナー経営者から後継者が議決権株式の全部を引き継ぐには多額の相続税(または贈与税)がかかります。
そこで、一定要件のもとで当該相続税(または贈与税)の納税を猶予し、次の後継者に対する事業承継まで無事に経営責任を果たした場合には納税猶予額そのものを免除する、というものです。
中小企業のオーナー経営者にとって、自社株に係る相続税負担は、優良企業であればあるほど深刻な問題ですから、この制度は後継者の自社株に係る相続税負担軽減策として非常に期待されています。
しかしながら、適用要件を満たさないこととなった場合には、猶予された税額に加えて利子税の納付も求められることになるなど、納税猶予の適用を受けた後継者は会社経営を行うにあたりさまざまな制約も課されることとなります。
まとめ
事業承継税制の適用にあたっては、適用後に課される要件等をクリアできるかどうかを慎重に確認する必要があります。
準備が不足している状態で進めてしまうと、社内の混乱を招いたり、相続をめぐって後継者以外の親族とのトラブルに発展する可能性もあります。
そのあたりも含めて十分に検討することが必要になります。