店舗や事務所の建設・内装工事を行う際、「建設仮勘定」という勘定科目を使って処理を進めます。この処理を間違えると、固定資産の計上漏れや減価償却のズレにつながるため、完成時に正しい処理が必要です。
今回は、1,000万円のお店を作る工事契約をしたと言う事例で解説します。
具体的には、昨年度に着工し、今年度に完成した工事になります。
事例:店舗内装工事(総額1,000万円)
発生時期 | 支払額 | 経理処理 |
昨年(着工時) | 300万円 | 建設仮勘定 / 現金 |
今年(完成時) | 700万円 | 建設仮勘定 / 現金 |
ステップ1:完成時点での「振替処理」
お店が完成し、引き渡しを受けた時点で、これまでに計上した「建設仮勘定」を「建物」や「建物附属設備」へ振り替えます。
この振替によって、合計1,000万円が固定資産として計上されます。
借方(増加) | 金額 | 貸方(減少) | 金額 |
建物 | 1,000万円 | 建設仮勘定 | 1,000万円 |
(建物や内装費など) |
ステップ2:今年度から「減価償却」を開始
振替処理が完了したら、その資産は使用できる状態なので、完成した年度(今年度)から減価償却を開始します。
この減価償却を通じて、建物の取得費用(1,000万円)を耐用年数に応じて費用処理していきます。
処理のポイント
最も重要なのは、「完成・引き渡しを受けた日」を基準に固定資産への振替を行うことです。
単に最後の支払いをした日ではないことに注意してください。
建設仮勘定は一時的な勘定科目です。
決算時に建設仮勘定がある場合は必ずチェックしましょう。