税理士試験の勉強をしているとき、退職給付について「退職給付は賃金の後払いである」という考え方を学びました。
この言葉が意味するところは、退職金は勤続年数に応じて、退職時にある程度まとまった金額を支払います。
その分、「毎月の給与は少し低く抑えますね」という構造になっている、とも受け取れます。
「後払い」の仕組みに感じる違和感
個人的に、この考え方には少し違和感を覚えました。
私自身、何度か転職を経験しているため、勤続年数が短く、退職金も少ない、あるいは退職金制度自体がない会社で働いたこともあります。
「辞めた後に多く払うよ」という仕組みよりも、私は「退職金はなくても良いから、毎月の給与でその分多くください」と考えるタイプです。
組織の中で働くことに抵抗がある方や、私のように複数の職を経験するキャリアを選んだ人は、給与としてその都度、労働に見合った対価を多くもらいたいと考える傾向が強いのではないでしょうか。
未来が不確実な時代の給与体系
この「後払い」の仕組みは、今の時代に合わなくなりつつあるのかもしれません。
- 企業の平均寿命の短縮: 中小企業の平均寿命は昔と比べて年々短くなっていると言われており、企業の「未来」は不確実性が増しています。
- 従業員の流動性: 終身雇用の形が崩れ、転職が一般的になったことで、従業員の会社への定着期間も短くなっています。
このような時代背景から、会社側も、退職金のために未来のお金(準備金)を多額に積み立てるよりも、「毎月の給与で多く還元する」方が、より合理的だと考える流れが主流になっていくのかもしれません。