ダブルワーク:年末調整の注意点

近年、サービス業を中心として、ダブルワークをする方が増えています。
原則として、年末調整はどこか一つの会社で行うことになりますが、手続きを誤ると、年末調整のやり直しなど手間が生じる可能性があります。


1.年末調整を行う「主たる会社」とは?

年末調整を行う会社は、従業員が「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した会社です。
この申告書を提出した会社が、いわゆる「主たる給与の支払者」となり、この会社で年末調整を行うことになります。
この申告書は、原則として一社にしか提出できません。


2.毎月の源泉徴収:「甲欄」と「乙欄」の違い

毎月の給与計算において、源泉徴収税額を計算する方法には「甲欄」と「乙欄」の二つの基準があります。

  1. 甲欄(主たる会社): 扶養控除申告書を提出している会社が適用します。配偶者控除や扶養控除など、各種控除が考慮されるため、源泉徴収税額が低く設定されます。
  2. 乙欄(従たる会社): 扶養控除申告書を提出していない他の会社が適用します。各種控除が考慮されないため、源泉徴収税額が高く設定されます。

担当者は、従業員がダブルワークをしている場合、自社に「扶養控除申告書」が提出されているかどうかで、必ず甲欄と乙欄を使い分けなければなりません。


3.担当者が間違えやすい最も危険なポイント

ダブルワークに関する最も多い間違いは、「従業員が別の会社でも働いていることを知っているのに、扶養控除申告書を提出していない会社でも、そのまま甲欄で計算してしまう」ことです。

この間違いが発生すると、次のような問題が起こります。

A. 会社側(源泉徴収義務者)のリスク

源泉徴収の義務は会社にあります。
本来、乙欄を適用して多く徴収すべきだった税金を、甲欄適用により少なく徴収していたことになります。
その結果、年末調整時に多額の不足額が発生し、会社がその不足分を従業員から回収するか、あるいは年末調整をやり直す必要が生じ、事務負担が大幅に増大します。

B. 従業員側のリスク

両社とも低い税率の甲欄で計算された結果、年間の合計税額が大幅に不足します。
多くの場合、翌年に従業員自身で確定申告を行う必要が生じ、多額の追加納税を求められることになります。

まとめ:従業員と会社の協力が不可欠

ダブルワークをしている従業員に対しては、「扶養控除申告書は一社にしか提出できないこと」「提出のない会社では乙欄が適用されること」を会社側から周知することが重要です。

ダブルワークをしている従業員がいる場合はは特に気を付けていただければと思います。


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