ある得意先(A社)に対して商品を販売(売上)していて、かつ、そのA社から仕入れなども行っている場合、「売掛金と仕入代金(買掛金)を相殺してください」と依頼されることがあります。
例えば、A社に対する売掛金が60万円あり、A社への買掛金が20万円ある状況で、差額の40万円だけが普通預金に入金された場合の正しい会計処理を見てみましょう。
普通預金 40万円 / 売掛金 60万円
買掛金 20万円
この仕訳のポイントは、売掛金60万円と買掛金20万円という「取引の総額」を帳簿から消し込み、実際に入金された金額40万円を記録していることです。
よく見受けられるのが、「入金されたのが40万円だから、売掛金も40万円だけを消し込む」という処理です。
普通預金 40万円 / 売掛金 40万円
この仕訳を切ってしまうと、売掛金と買掛金に、まだ20万円の残高が残ってしまいます。
このように、相殺処理を正しく行わないと、売掛金と買掛金の残高が実際とは異なる金額で計上されてしまい、貸借対照表(B/S)の残高や、債権債務の管理を誤ることにつながります。
買掛金と相殺することを忘れず、取引の総額を正確に帳簿から消し込むように注意してくださいね。
