昭和16年夏の敗戦

先日、猪瀬直樹さんの名著『昭和16年夏の敗戦』を読みました。

この本で描かれている歴史の裏側の中でも、胸を深く打ったのが、終戦直後の天皇陛下と連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーの歴史的な会談の場面です。

覚悟に満ちた天皇陛下の言葉

終戦後の1945年(昭和20年)9月、マッカーサーの司令部を訪れた天皇陛下は、一切の命乞いをせず、次のように述べられました。

「私は、国民が戦争遂行にあたって行った全ての決定と行動に対する全責任を負う者として、私自身をあなたの代表する諸国の裁決に委ねるためお訪ねした。」

マッカーサーを感動させた「責任」の表明

マッカーサーは、当時、天皇陛下が自らの保身のために命乞いをされるだろうと予想していたそうです。
しかし、この予期せぬ、国民の全責任を一身に背負うという覚悟に満ちた発言に、マッカーサーは深く感動を覚えたと伝えられています。

当時のアメリカ国内の世論は、「天皇を戦争犯罪人として裁判にかけるべきだ」という厳しいものでした。
しかし、この歴史的な会談での陛下の毅然たる態度が、マッカーサーの心を動かし、その後の日本の占領政策と世論の風向きを決定的に逆転させたと言われています。

極限の状況下で示された、一国の指導者としての倫理と責任の重さを知り、深い感動を覚えました。
歴史の教科書では学べない、人間の信念が国を動かした瞬間を知ることができる、大変貴重な読書体験となりました。

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