マル経融資を賢く活用

税理士になる前は、商工会議所で融資担当者として働いていました。
窓口に来るお客様で、決算書などを見て該当しそうだなー、という方には、無担保、無保証、低金利のマル経融資を勧めていました。今回は融資担当者の視点で、マル経融資の説明をしたいと思います。

(1) マル経融資とは

 マル経融資の正式名称は、小規模事業者経営改善資金と言います。
 日本政策金融公庫(沖縄は、沖縄開発金融公庫)が提供する融資制度です。
 貸付限度額は2,000万円以内、金利は1.7%(2025/5/1現在)、無担保・無保証と優遇されています。
 対象者は、従業員20名以下(商業、サービス業は5人以下)で、1年以上事業を行っているもの、商工会議所等の経営指導を6ヶ月以上受ける、かつ、商工会議所等の審査会をクリアする必要があります。

(2) マル経融資を受けられそうなお客様とは

 融資を受けたい場合は、まず、商工会議所等に行き6ヶ月以上経営指導を受けることになります。何故、6ヶ月も経営指導が必要なのかというと、事業内容を把握することと、お客様との信頼関係を作る期間だと捉えていました。
 私が重要視していたことは次の項目です。
 ①代表者は誠実か、嘘はないか。
 ②決算の数字
 ③たとえ、今の数字は良くなくても、今後、良くなる計画はあるか
 無担保・無保証ですから、代表者の人となり、は最重要ポイントとして見ていました。他の融資制度であれば、万一返済が滞っても、保証協会が負担してくれますが、マル経融資はそうはいきません。
 決算や試算表の数字の質問に対して、「口ごもる」ような違和感がある返答されると、「ん?」と思っちゃいます。
 それよりも、数字が良くなくても、誠実に、真実を言ってもらった方が、一緒に改善できる点はないかと前向きになれます。
 今の経営状況が良くなくても商工会議所等の職員と信頼関係を作って計画書を作成し、融資が実行されるケースもありました。

(3) マル経融資を受けるために

 まとめると、代表者が誠実で嘘がなく、決算の数字が良ければ融資が実行される可能性は高いと思います。
 しかし、融資を受けられそうだなー、と思うお客様でも帳簿をつけていない、もしくは、2,3ヶ月帳簿をつけるのが遅れている方もいらっしゃいました。
 事業資金に余裕がある方でも、きちんと経理をやっておけば、積極的な設備投資などで融資を受けることが可能になります。一度、融資が実行されきちんと返済をしていけば、借替もしやすくなります。
 条件に該当しそうな方は、マル経融資をご検討してみてはいかがでしょうか。

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